定義直接原価計算とは、製品原価を変動費だけで計算する部分原価計算。固定費を製品に配賦せず期間費用として扱うため、売上が増えたときの利益の動きがそのまま見える。計算式売上高−変動費=限界利益、限界利益−固定費=営業利益。全部原価計算(製造固定費も製品原価に含める)と違い、固定費の配賦で利益が歪まない。目安限界利益の水準は業種で大きく異なる。全産業の限界利益率の平均は43.6%(TKC経営指標 令和7年版)。自社の値は同業と並べて読む。
直接原価計算とは — 原価を変動費だけで計算する方法
直接原価計算とは、製品の原価を変動費だけで計算するやり方のことです。変動費は、売上に比例して増減する費用(材料費、外注費、仕入、販売手数料など)を指します。製造に関わる固定費(工場の人件費や減価償却など、売上に関係なく発生する費用)は製品原価に含めず、その期間の費用としてまとめて差し引きます。変動原価計算と呼ばれることもあります。
これに対して、変動費も固定費もすべて製品原価に含めるやり方を全部原価計算といいます。外部に出す決算書は全部原価計算が原則ですが、社内で採算や増産可否を判断するときは、直接原価計算のほうが「売上が動いたときに利益がどう動くか」をきれいに見せてくれます。
直接原価計算でつくる変動損益計算書では、売上高からまず変動費を引いて限界利益を出します。全産業の限界利益率の平均は、TKC経営指標(BAST)令和7年版によると43.6%です。業種によって変動費の重さが違うため、この平均は単独で使うより同業の水準と並べて読むのが実務的です。
なぜ重要か/よくある誤解
最大の誤解は、全部原価計算だけ見ていれば採算もわかると考えることです。全部原価計算では固定費を製品に配賦するため、たくさん作って在庫を増やすと、その期の利益が見かけ上ふくらむことがあります。売れ残った在庫に固定費の一部が乗って翌期に繰り越されるからです。直接原価計算は固定費を期間費用にするので、この歪みが起きません。
もう一つの誤解は、直接原価計算が決算書の作り方を置き換えるものだ、という思い込みです。そうではなく、制度会計(外部報告)は全部原価計算、社内の意思決定は直接原価計算、と役割を分けて両方を使います。
計算式と具体例
| 項目 | 式 |
|---|---|
| 限界利益 | 売上高 − 変動費 |
| 営業利益 | 限界利益 − 固定費 |
| 限界利益率 | 限界利益 ÷ 売上高 |
たとえば売上1,000万円・変動費400万円・固定費500万円の事業なら、限界利益は600万円(限界利益率60%)、営業利益は100万円です。ここで「もう100万円分の追加受注(変動費40万円)を受けるか」を考えると、固定費は増えないので、増える利益は限界利益の60万円。直接原価計算だと、この判断がそのまま数字で見えます。
自社に実装するには
直接原価計算を実務で使う鍵は、費用を変動費と固定費に分けること(固変分解)と、採算を見る単位を決めることの2つです。会社全体でまとめて変動損益計算書を作るだけでも損益分岐点は見えますが、案件・部門・チャネルといった単位ごとに分けて初めて、どこが固定費を回収できていて、どこができていないかが見えます。この土台づくりは業務棚卸しから始まります。
直接原価計算は「どの単位で変動費と固定費を分けるか」が決まると効きはじめます。無料診断で、採算を見る単位と費用の分け方の起点を洗い出せます。
よくある質問
直接原価計算と全部原価計算はどう違いますか?
変動損益計算書とは何ですか?
なぜ意思決定には直接原価計算が向いているのですか?
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