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原価企画とは

原価企画とは、企画・設計の段階で目標原価を決めて作り込む利益づくりの手法。目標原価=予定売価−目標利益という逆算の考え方、トヨタ発祥の背景、量産後のコストダウンとの違いを具体例で解説。原価の大半は企画・設計段階で決まるため、早い作り込みが効く。

この記事の要点AI / AEO 最適化
  • 定義原価企画とは、製品やサービスの企画・設計段階で、利益を確保できる目標原価を先に決め、設計・部品・工法を作り込んで達成する活動。出てきた原価を後で下げるのではなく、最初に原価を決めにいく。
  • 計算式目標原価=予定売価−目標利益。市場で通る価格(予定売価)から、確保したい利益を引いて、許される原価を逆算する。価格を起点にする点が積み上げ型と逆。
  • 目安原価の大半は企画・設計の段階で決まる(コスト決定曲線)。一般に8割程度が設計段階で方向づけられ、量産に入ってからの低減余地は限られる。だから早い段階の作り込みが効く。

原価企画とは — 作る前に目標原価を決める利益づくり

原価企画とは、製品やサービスの企画・設計の段階で、利益を確保できる目標原価を先に決め、それを達成できるように設計・部品・工法を作り込む活動のことです。英語では target costing と呼ばれます。出てきた原価を後から下げるのではなく、市場で通る価格から逆算して「許される原価」を決め、その範囲に収まるように中身を設計していきます。

考え方の中心は、目標原価=予定売価−目標利益、という逆算です。原価を積み上げて値段を決める(積み上げ型)のではなく、価格を先に置いて原価の上限を決める(マーケットイン)。この順序が原価企画の特徴です。

トヨタ自動車は1963年に原価企画を導入し、新車の企画段階で「価格はいくら、利益はいくら、だから原価はいくらまで」と逆算して目標原価を作り込む仕組みを確立したとされています。原価企画が重視されるのは、原価の大半が企画・設計の段階で決まり、量産に入ってからの低減余地が限られるためです(コスト決定曲線)。一般に8割程度が設計段階で方向づけられるといわれます。

出典トヨタ自動車75年史(原価企画・質量企画・部品標準化)

なぜ重要か/よくある誤解

最大の誤解は、原価管理=量産後のコストダウンだと考えることです。作るものが決まってからの削減は、せいぜい数量や調達の工夫にとどまり、構造そのものは変えられません。原価の多くは図面の段階で決まっているからです。原価企画は、まだ設計が動かせる段階で部品・工法・仕様を選び、利益が出る構造を作り込みます。

もう一つの誤解は、原価企画は大企業の製造業だけのものだ、という思い込みです。価格を先に置いて目標利益から原価の上限を逆算する、という順序は、新サービスや新メニュー、受託案件の見積りにも応用できます。

進め方(基本ステップ)

やること
1 予定売価を決める(市場で通る価格)
2 目標利益を決める(確保したい利益)
3 目標原価を逆算する(予定売価 − 目標利益)
4 現状の見積原価との差を、設計・調達・工法で埋める

たとえば予定売価1,000円・目標利益200円なら、目標原価は800円。現状の見積原価が900円なら、差の100円を仕様の見直しや部品の共通化で埋めていきます。最初は見積原価が目標原価を上回るのがふつうで、その差を企画段階で詰めていくのが原価企画です。

自社に実装するには

原価企画を回す前提は、価格・目標利益・原価を同じ単位で見られることです。製品単位・メニュー単位・案件単位で「いくらで売り、いくら残し、いくらまで原価をかけてよいか」が見えていないと、目標原価を置けません。まず採算を見る単位を決め、変動費・固定費を分けて原価を見える化する。この土台づくりは業務棚卸しから始まります。

原価企画は「いくらで売り、いくら残すか」を先に決められて初めて回ります。無料診断で、価格・目標利益・原価の見える化の起点を整理できます。

よくある質問

原価企画とコストダウンはどう違いますか?
動かすタイミングが違います。コストダウンは、すでにある製品や工程に対して「出てきた原価を後から下げる」活動です。原価企画は、企画・設計の段階で「これから出てくる原価を先に決めにいく」活動です。原価の多くは設計段階で方向づけられるため、量産が始まってから頑張っても下げられる幅は限られます。原価企画は、まだ図面の段階で部品・工法・仕様を選び、利益が出る構造そのものを作り込みます。
目標原価はどうやって決めるのですか?
市場で通る価格から逆算します。まず、その製品やサービスがいくらなら売れるか(予定売価)を決め、そこから確保したい目標利益を引いた残りを目標原価とします(目標原価=予定売価−目標利益)。原価を積み上げて値段を決めるのではなく、価格を先に置いて許される原価を決める、マーケットインの考え方です。最初は現状の見積原価が目標原価を上回るのがふつうで、その差を設計・調達・工法の工夫で埋めていきます。
原価企画は製造業以外でも使えますか?
使えます。原価企画は自動車などの製造業で確立した手法ですが、考え方は新サービスの設計、飲食の新メニュー開発、受託案件の見積りなどにも応用できます。共通するのは、価格を先に置き、目標利益から逆算して原価の上限を決め、その範囲で中身を設計するという順序です。作ってから採算を確認するのではなく、企画段階で採算の見通しを組み込むことで、後戻りの少ない利益づくりができます。