定義在庫回転率(棚卸資産回転率)とは、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標。回数が多いほど在庫が効率よく売れ、資金が在庫に滞留しにくいことを表す。計算式在庫回転率(回)=売上原価÷棚卸資産。回転期間(日)=365÷在庫回転率。売上原価の代わりに売上高を使う簡便法もあるが、利益分だけ高めに出る点に注意する。目安上場企業の全業種中央値は8.5回(2022年・ザイマニ)。業種差が大きく、製造業の中小企業で12.6回、小売の飲食料品で17.1回など。自社の値は同業種の水準と経年推移で読む。
在庫回転率とは — 在庫が何回入れ替わったかを示す指標
在庫回転率(棚卸資産回転率)とは、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。在庫が効率よく売れて入れ替わっているほど数字は大きくなり、仕入に使ったお金が在庫の形で滞留しにくいことを表します。逆に数字が小さいと、売れ残りの在庫が資金を寝かせている状態を意味します。
だから在庫回転率は、採算だけでなく資金繰りを見るうえでも基本になる指標です。利益が出ていても在庫が積み上がっていれば手元のお金は減るため、「儲かっているのに資金が苦しい」状態を早く察知できます。
経済産業省の商工業実態基本調査によると、中小企業の在庫回転率は製造業全体で12.6回、卸売の飲食料品で24.2回、小売の飲食料品で17.1回となる一方、織物・衣服等の小売は5.1回と、扱う商材によって水準が大きく異なります。目安の数字は単独で使うより、同業種の水準と並べて読むのが実務的です。
なぜ重要か/よくある誤解
最大の誤解は、在庫回転率は高ければ高いほど良いと考えることです。回転率を上げようと在庫を絞りすぎると、欠品で販売機会を逃したり、急な受注に応えられなくなったりします。目指すのは「回転率の最大化」ではなく、欠品を避けられる範囲で滞留を減らす適正在庫です。
もう一つは、業種を問わず同じ目安を当てはめることです。生鮮食品のように回転の速い商材と、アパレルや高額品のように在庫を抱えやすい商材では、適正な回転率がまったく異なります。平均値は必ず同業の文脈の中で使います。
計算式と具体例
| 項目 | 式 |
|---|---|
| 在庫回転率(回) | 売上原価 ÷ 棚卸資産 |
| 在庫回転期間(日) | 365 ÷ 在庫回転率 |
| (簡便法) | 売上高 ÷ 棚卸資産(利益分だけ高めに出る) |
たとえば年間の売上原価が1億2,000万円、棚卸資産(在庫)が1,000万円の会社なら、在庫回転率は12回です。回転期間に直すと365÷12=約30日、つまり平均30日分の在庫を抱えている、という読み方になります。上場企業の全業種中央値8.5回(2022年・ザイマニ)と比べれば、この会社は在庫を比較的効率よく回せていると評価できます。
なお、簡便法として売上原価の代わりに売上高を使う計算もありますが、売上高には利益が含まれるぶん回転率が高めに出ます。同業や経年と比べるときは、どちらの式で計算したかを揃えることが大切です。
自社に実装するには
在庫回転率を実務で使う鍵は、「どの単位で在庫を見るか」を決めることです。会社全体の在庫回転率だけでは、どの商品・カテゴリ・チャネルが在庫を寝かせているかは見えません。商品別・チャネル別に売上原価と在庫を紐づけて初めて、「回転が悪く資金を寝かせている在庫」を特定できます。この単位の設計は、何にいくらのコストと在庫が紐づいているかを洗い出す業務棚卸しから始まります。
在庫回転率を「商品別・チャネル別」で見られると、どの在庫が資金を寝かせているかが分かります。無料診断で見える化の起点を洗い出せます。
よくある質問
在庫回転率と在庫回転期間はどう違いますか?
在庫回転率はどのくらいが目安ですか?
在庫回転率が低いと何が問題ですか?
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